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本記事にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。掲載している数値・目安は、農林水産省・厚生労働省・内閣府食品安全委員会などの公的資料をもとにした一般的な情報であり、効果や感じ方には大きな個人差があります。持病のある方、通院中・服薬中の方、妊娠中・授乳中の方は、必ず主治医・薬剤師の指示を優先してください。本記事は診断・治療を目的としたものではありません。
夜勤・交代勤務を生き抜く完全ガイド | カフェイン編
カフェインの正しい摂り方夜勤で効くタイミングと、眠れなくならない量 ── 「何時間前まで」ではなく「就寝時に何mg残るか」で設計する
深夜3時、缶コーヒーをもう1本開ける。眠気は少しだけ引く。けれど明けに布団へ入ると、体はへとへとなのに頭だけが起きている。この二つは同じ1本が起こしている、同じ現象の裏表です。カフェインは夜勤者にとって最も身近な武器で、同時に最も雑に扱われている武器でもあります。この記事では「寝る何時間前までならOK」という曖昧な目安を捨て、量と時刻をひとつの物差しに乗せる方法を組み立てます。
この記事の結論を先に
- 上限は1日400mg。ただし400mgは目標ではなく、越えてはいけない線。ドリップコーヒーで珈琲カップ4杯分(約700cc)に相当します。これを超えると、たとえ朝に飲んだ分であっても夜の睡眠に響く可能性があります。
- 判断基準は「寝る何時間前か」ではなく「就寝時に何mg残っているか」。血中半減期は日本人でも3〜7時間の幅があります。半減期5時間の人が200mgを飲むと、10時間後でもまだ50mg残っている計算になります。
- 夜勤者が本当に守るべきなのは、量ではなく「感度」。毎日使えばカフェインは効かなくなります。効かなくなったときに増やすのは最悪手です。増やすのではなく、いったん引く。
この記事の目次
- 「時刻」ではなく「残量」で管理する
- 効く仕組み──眠気を消さずに借りを作る
- 効き始め・ピーク・抜け方の時間割
- 図解|血中カフェイン残量カーブ
- 1日400mgという上限の本当の意味
- カフェイン含有量の早見表
- 診断1|カフェイン感受性セルフチェック
- ツール|就寝時カフェイン残量シミュレーター
- 「寝る何時間前まで」に数字で答える
- 1回量の設計──一気に入れず、分けて置く
- シフト別カフェイン配分プラン
- 診断2|カフェイン配分ナビ
- コーヒーナップ──順番を間違えない
- 耐性──効かなくなったときの手当て
- 離脱──休みの日だけ頭が痛い理由
- 形態別の使い分け
- 併用の危険と安全ライン
- 飲み方の実務(胃・鉄・利尿)
- やってはいけない8つ
- まとめ|8箇条
- よくある質問(FAQ)
SECTION 01カフェインは「時刻」ではなく「残量」で管理する
「カフェインは寝る何時間前までにやめればいい?」という質問には、じつは答えようがありません。4時間前でも6時間前でも、飲んだ量が書かれていない限り、その数字は意味を持たないからです。
コーヒー半杯と、エナジードリンク3本。この二つが体に残す影響はまるで違うのに、「何時間前ルール」はどちらにも同じ答えを返してしまいます。だから守っているつもりで眠れないし、破ったつもりで平気だったりする。基準そのものが、量という最大の変数を無視しているのです。
そこで、この記事では物差しを1本に統一します。就寝時刻の時点で、体の中にカフェインが何mg残っているか。これだけです。この物差しを使うと、量も時刻も体質も、すべて同じ土俵に乗ります。
この記事で使う唯一の物差し
「いつ飲んだか」でも「何杯飲んだか」でもなく、布団に入る瞬間に残っている量。飲んだ量が多ければ門限は早くなり、少なければ遅くまで許容できる。体質によっても線は動く。残量で考えると、この当たり前の関係が数字で見えるようになります。
なお、眠気そのものへの向き合い方──カフェイン・仮眠・光という3つの武器をどう役割分担させるか──は、このクラスターの親記事にあたる第25回で全体像をまとめています。本記事はその中の「カフェイン」だけを深掘りする回です。全体像を先に押さえたい方は、そちらから読むと理解が早くなります。
親記事|第25回夜勤者の眠気を消す方法|カフェイン・仮眠・光の使い分け ── 眠気には発生源が3つあり、それぞれ効く武器が違う。まず全体像から入りたい方はこちら。SECTION 02効く仕組み──眠気を消さずに「借り」を作っている
カフェインが目を覚まさせる仕組みは、意外なほど地味です。眠気を消しているのではなく、眠気の合図を受け取る窓口をふさいでいるだけなのです。
ここで大事なのは、アデノシンそのものは減っていないという点です。起きている時間が長くなるほどアデノシンは溜まり続け、その分だけ「眠りたい圧力」は強くなっていきます。カフェインは、その圧力を感じなくさせているだけ。窓口を閉めて、督促状を受け取らずにいるようなものです。
だから、カフェインが切れた瞬間に眠気が一気に押し寄せることがあります。閉めていた窓口を開けたら、督促状が山積みになっていた。あの「急にガクッとくる感じ」の正体はこれです。
眠気の自覚を下げる
覚醒度を一時的に押し上げ、集中力や作業効率の低下を先送りできます。仮眠がとれない現場では現実的な選択肢です。
睡眠不足を返済する
溜まった眠りの借りを減らせるのは睡眠だけです。カフェインは支払いを待ってもらっているにすぎません。
返済期限が後ろにずれる
先送りした分は、切れたタイミングか、明けの睡眠の質という形で必ず戻ってきます。
この「借り」の考え方は、あとで出てくる耐性・離脱の話にも直結します。毎日借りて、毎日先送りしていると、そのうち貸してくれる額そのものが減っていく。これがカフェインの耐性です。
SECTION 03効き始め・ピーク・抜け方の時間割
残量で管理するには、まず「入ってから出ていくまで」の時間感覚を持つ必要があります。ここは数字で覚えてしまったほうが早い部分です。
| フェーズ | おおよその時間 | 体で起きていること |
|---|---|---|
| 吸収・立ち上がり | 飲んで15〜30分ごろ | 血中濃度が上がり始める。まだピークではないので「効いてきた気がする」程度。 |
| ピーク | 飲んで30分〜2時間ごろ | 血中濃度が最大に。覚醒感が最も強い。動悸や手のふるえが出るならこの時間帯。 |
| 体感の減衰 | 飲んで2〜4時間ごろ | 「効き目が薄れた」と感じ始める。ただし血中にはまだ大半が残っている。 |
| 半分になる | 飲んで3〜7時間後 | 血中濃度が半分に。この幅がそのまま体質差。日本人でもこれだけばらつきます。 |
| おおむね抜ける | 半減期の3〜4倍の時間 | 半減期5時間なら15〜20時間。前夜の分が翌朝まで残ることも珍しくありません。 |
※ 血中濃度が最大になるまでの時間は内閣府食品安全委員会および国立精神・神経医療研究センターの解説、血中半減期は厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」に示された日本人の値(3〜7時間)を参考にしています。空腹か食後か、体格、常用薬などによっても変動します。
体感が消えても、半分は残っている
ここが夜勤者にとって最大の落とし穴です。「もう効いてない」という感覚と「もう抜けた」という事実は、まったく一致しません。
深夜1時に200mgを入れたとします。3時ごろには「切れたな」と感じるでしょう。しかし半減期が5時間の人なら、明けの朝9時──つまり8時間後──の時点で、まだ約66mgが血中に残っています。布団に入ってから頭が冴えるのは、意志が弱いからでも、疲れすぎているからでもありません。単純に、まだ入っているからです。
覚えておくと強い一行
体感は2〜3時間で薄れる。血中濃度が半分になるのは3〜7時間後。この「ずれ」の中で、私たちは「もう大丈夫」と勘違いして次の1本を開けている。
SECTION 04図解|血中カフェイン残量カーブ
言葉で説明するより、線で見たほうが早い部分です。200mg(ドリップコーヒーで約2杯分)を一度に飲んだとき、体内に残る量がどう減っていくかを、半減期3時間・5時間・7時間の3タイプで描きました。
半減期の値は厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が示す日本人の血中半減期3〜7時間の幅にもとづき、指数減衰モデルで作図した概念図です。実際は摂取のしかたや体調によっても変動します。
3本の線が言っているのはひとつだけです。同じ量を、同じ時刻に飲んでも、抜けるまでの時間は人によって2倍以上違う。「自分は夜にコーヒーを飲んでも平気」という人は、赤い線ではなく緑の線の側にいるだけかもしれません。逆に「夕方の1杯で眠れなくなる」人は、意志の問題ではなく赤い線の側にいるということです。
そしてもうひとつ。緑のタイプでさえ、200mgが50mgまで落ちるのに6時間かかっています。「4時間空けたから大丈夫」がいかに雑な目安か、線を見れば一目でわかります。
SECTION 051日400mgという上限の本当の意味
カフェインの摂取量について、日本では明確な基準値は定められていません。ただし厚生労働省の睡眠ガイドをはじめ、各国の評価機関がそろって示している線が健康な成人で1日400mgです。
400mgを超えると、朝に飲んだ分でも夜に響く
この上限のこわいところは、時刻を守っても総量で破れてしまう点にあります。睡眠ガイドは、脳波を用いた研究をもとに、摂取量が増えるほど用量に応じて深い睡眠が減り、中途覚醒が増え、睡眠効率が下がり、総睡眠時間が短くなることを指摘しています。そして400mgを超える摂取は、1日のどの時点であっても──仮に朝の摂取であっても──睡眠に悪影響を与える可能性があるとしています。
「夕方以降は飲んでいないから大丈夫」は、総量が400mgを超えていれば成り立たないということです。
夜勤者はこの線を、驚くほど簡単に越える
夜勤の1サイクルを具体的に数えてみます。
| タイミング | 飲んだもの | カフェイン量 | 累計 |
|---|---|---|---|
| 出勤前 19:00 | マグカップでコーヒー(250mL) | 約150mg | 150mg |
| 勤務開始 21:30 | 缶コーヒー1本 | 約90mg | 240mg |
| 深夜 1:30 | エナジードリンク1本 | 約80〜150mg | 320〜390mg |
| 明け方 4:30 | 缶コーヒーをもう1本 | 約90mg | 410〜480mg |
※ 各飲料のカフェイン量は農林水産省および内閣府食品安全委員会の資料にもとづく一般的な目安です。実際の量は製品によって大きく異なります。
特別に飲みすぎているわけではありません。ごく普通の夜勤1回で、上限を越えてしまう。しかもここに、風邪をひいていれば総合感冒薬が、頭痛があれば鎮痛薬が上乗せされる可能性があります(これらにもカフェインが含まれていることがあります)。
最初にやるべきこと
減らす工夫を考える前に、まず1サイクル分を数えてみてください。「思ったより飲んでいなかった」と分かる人はそのまま続ければいいし、「気づかず超えていた」と分かる人は、それだけで打つ手が見えます。多くの夜勤者にとって、いちばん効く一手は新しい商品ではなく、この足し算です。
1回あたりの上限も別にある
1日の総量とは別に、1回の摂取量にも目安があります。欧州食品安全機関(EFSA)は、健康な成人において1回あたり200mg(体重70kgの成人で約3mg/kg体重)までであれば急性毒性の懸念は生じないと評価しています。オーストラリア・ニュージーランドも同様に、1回の上限200mgという値を示しています。
つまり実務的には、「1日400mgまで」かつ「1回200mgまで」という二重の枠で考えるのが安全側です。この「1回200mg」が、あとで出てくる分割摂取の話につながります。
この上限が当てはまらない人がいます
妊娠中の方(WHOは1日300mg以上の高摂取に注意を促し、EFSAは1日200mgまでという評価を示しています)、授乳中の方、こども、高齢の方は、より少ない量が目安になります。睡眠ガイドは、加齢に伴ってカフェインの代謝能が低下するため、高齢者はこどもと同様に少量でも睡眠に影響する可能性があると指摘しています。また心臓の病気や胃酸過多・胃潰瘍がある方は、市販の眠気防止薬を服用できない旨が添付文書に記載されています。該当する方は必ず医師・薬剤師にご相談ください。
SECTION 06カフェイン含有量の早見表
残量で管理するには、入口の数字がわからないと始まりません。公的資料に示されている代表的な濃度をまとめます。意外な順位がひとつあるので、そこだけでも覚えて帰ってください。
| 飲みもの | 濃度(100mLあたり) | 1杯・1本の目安 | 夜勤での使いどころ |
|---|---|---|---|
| 玉露 | 160mg | 60mLで約96mg | 濃度は最上位。少量でも効く。日本茶だからと油断しない。 |
| エナジードリンク類 | 32〜300mg(製品差大) | 1本あたり36〜150mg | 表示の確認が必須。製品によって4倍以上の開きがある。 |
| コーヒー(浸出液) | 60mg | 150mLで約90mg | 量の調整がしやすく、配分の基準にしやすい。 |
| インスタントコーヒー | 粉末4.0g/100g | 2g使用で1杯約80mg | 現場で作りやすい。粉の量で微調整できるのが強み。 |
| 抹茶(粉末) | 粉末3.2g/100g | 1.5gで約48mg | 中間帯。ラテ類は他の甘味と一緒に摂りがち。 |
| 紅茶 | 30mg | 150mLで約45mg | コーヒーの半分。量を落としたい日の中継ぎに。 |
| せん茶/ほうじ茶/ウーロン茶 | 20mg | 150mLで約30mg | 微調整向き。ゼロではない点に注意。 |
| 玄米茶 | 10mg | 150mLで約15mg | 実質ほぼ気にしなくてよい水準。 |
| 麦茶・そば茶・黒豆茶など | カフェインなし | — | 門限後の主役。茶葉を使っていないため含まれない。 |
出典:農林水産省「カフェインの過剰摂取について」および内閣府食品安全委員会ファクトシート「食品中のカフェイン」。コーヒー・茶類の値は文部科学省「日本食品標準成分表」にもとづく浸出条件での数値です。製品や淹れ方によって実際の量は変わります。
意外な順位|濃度で見れば、玉露はコーヒーの倍以上
100mLあたりで比べると、玉露の160mgはコーヒーの60mgのおよそ2.7倍です。「カフェインを控えたいからお茶にした」が、そのままでは逆効果になり得るということ。ただし玉露は一度に飲む量が少ないので、1杯あたりで見れば必ずしも多くはありません。濃度と、実際に飲む量。この二つを掛け算する癖をつけると誤解が減ります。
飲みものだけを数えても足りない
カフェインは飲料以外にも含まれています。農林水産省は、風邪薬や眠気防止薬、酔い止め薬といった市販の医薬品にもカフェインが含まれていることがあると注意を促しています。実際、市販の眠気防止薬には1回分でコーヒー数杯分に相当するカフェインを含む製品があります。
- 眠気防止薬・カフェイン錠/製品によるが、1回分でコーヒー1〜3杯相当を含むものがある
- 総合感冒薬・鎮痛薬・鼻炎用薬/配合されている場合がある。成分表示で「カフェイン」「無水カフェイン」を確認
- コーラ類・一部の清涼飲料水/表示で確認できる
- チョコレート・ココア/量は少ないが、夜に大量に食べれば無視できない
- プレワークアウト系サプリ/海外製には高濃度の製品がある
SECTION 07診断1|カフェイン感受性セルフチェック
次のシミュレーターを使うには、自分がどのタイプに近いかを決める必要があります。厳密な測定は遺伝子検査などが必要ですが、日常の反応からおおよその当たりはつけられます。
カフェインの分解速度に個人差が生まれる主な理由は、肝臓にある薬物代謝酵素の働きの違いです。睡眠ガイドも「カフェインの代謝には個人差があり、日本人の血中半減期も3〜7時間とばらつきがある」と明記しています。加えて、喫煙はこの酵素の働きを強める方向に、妊娠や一部のホルモン剤・肝機能の低下は弱める方向に働くことが報告されています。
SELF CHECK
あてはまるものにチェックを入れてください
7項目。医学的な検査ではなく、次のシミュレーターで使う「仮の半減期」を決めるための目安です。
分解が速いタイプ寄り(仮の半減期:3時間)
カフェインが比較的早く抜けるグループに近い可能性があります。次のシミュレーターでは「速い(3時間)」を選んでください。
ただし、抜けが速いということは切れるのも速いということです。夜勤の後半で急に眠気が来やすいタイプでもあるので、1回に大量に入れるより、少量を複数回に分ける設計が向いています。
標準的なタイプ(仮の半減期:5時間)
多くの人が含まれるゾーンです。次のシミュレーターでは「標準(5時間)」を選んでください。
このタイプは、200mgが50mgまで落ちるのに約10時間かかります。明けに眠りたいなら、勤務後半の追加はかなり慎重に考える必要があります。
分解が遅いタイプ寄り(仮の半減期:7時間)
カフェインが長く残りやすいグループに近い可能性があります。次のシミュレーターでは「遅い(7時間)」を選んでください。
このタイプの人が「夜勤明けに眠れない」と悩んでいる場合、原因の大部分がカフェインである可能性は十分あります。まず総量を2〜3割落としてみるだけで、明けの寝つきが変わることがあります。動悸や強い不安感が続く場合は、量を減らしたうえで医師にご相談ください。
このチェックは日常の自覚症状から傾向を推測するもので、診断ではありません。結果にかかわらず、体調に不安がある場合は医療機関にご相談ください。
SECTION 08ツール|就寝時カフェイン残量シミュレーター
ここがこの記事の中心です。「飲んだ量」「就寝までの時間」「自分のタイプ」の3つを選ぶだけで、布団に入る瞬間に体内に残っているおおよその量が出ます。
睡眠ガイドが示している計算方法とまったく同じ考え方です。同ガイドは「半減期が5時間であった場合、朝9時に400mgを一度に摂取すると、14時に200mg相当、19時に100mg相当が体内に残存する」と具体例を挙げています。これを、自分の数字でやってみようというわけです。
SIMULATOR
布団に入るとき、何mg残っているか
最後にまとまった量を飲んだタイミングを基準に選んでください。複数回に分けて飲んだ場合は、それぞれで計算して足し算するとより実態に近づきます。
就寝時に残っている推定量
—mg
上のボタンを押すと計算されます。
ほぼ気にしなくてよい水準(25mg以下)
多くの人にとって、この残量が寝つきを左右することは考えにくい水準です。それでも眠れないなら、原因はカフェイン以外にあります。部屋の明るさ、音、体内時計のずれ、勤務直後の交感神経の高ぶりなど、別の線を疑ってください。
境界のあたり(25〜50mg)
敏感な人には影響が出はじめる帯です。寝つきは悪くないのに眠りが浅い、途中で目が覚めるといった形で出ることが多く、自覚しにくいのが厄介なところ。もう少し落としたいなら、最後の1杯を紅茶や麦茶に置き換えるだけで十分足ります。
影響が出やすい水準(50〜100mg)
睡眠ガイドは、19時に100mgを摂取すると24時になっても50mg分が残るため睡眠に悪影響を与える可能性がある、という例を挙げています。この帯に入っているなら、量か時刻のどちらかを動かす必要があります。
実務的には、量を半分に落とすほうが簡単です。時刻を4時間早めるのは夜勤では難しくても、缶コーヒーを1本減らすのは今日からできます。
寝つきに直撃する水準(100mg超)
睡眠ガイドは、夕方以降に100mg以上のカフェインを摂取することで、寝つきの悪化、深い睡眠の減少、中途覚醒の増加が生じるとしています。「疲れているのに眠れない」の原因が、この数字である可能性はかなり高い。
まず勤務後半の1本をやめてみてください。それで明けの寝つきが変わるなら、答えは出ています。眠気がつらくて減らせない場合は、量を足すのではなく仮眠を先に検討するほうが確実です。
この計算は、摂取したカフェインが一定の半減期で指数関数的に減っていくという単純化したモデルによる概算です。実際には吸収の速さ、食事の有無、体格、体調、常用薬などによって変動します。医学的な判断には用いないでください。
この数字の使い方
毎回計算する必要はありません。一度だけ、自分のいつものパターンで数字を出しておく。それが50mgを大きく超えていたなら、あなたの「明けに眠れない」問題は、寝具でも遮光カーテンでもなく、まずカフェインの問題です。数字が小さかったなら、逆に安心して他の原因を探せます。
SECTION 09「寝る何時間前まで」に、数字で答える
それでも「結局、何時間前なの?」という問いは残ります。ここに、量とセットでなら答えられる数字があります。
この数字は、多くの人が持っている感覚をひっくり返します。コーヒー1杯強で9時間前、2杯で13時間前。よく言われる「4〜6時間前まで」より、はるかに早い。
実務用の門限早見表
上の数字を、夜勤者が使える形に置き換えます。ただしこれは「これを超えたら必ず眠れない」ではなく、「影響が出はじめうる境界」として使ってください。
| その回の摂取量 | 飲みものの目安 | 就寝の何時間前までか | 明け9時に寝るなら |
|---|---|---|---|
| 約50mg以下 | 紅茶1杯・せん茶2杯 | 影響は小さい | 明け方でも許容範囲 |
| 約100mg | コーヒー1杯強・缶コーヒー1本 | 約9時間前まで | 前日24時が目安 |
| 約200mg | コーヒー2杯・エナドリ濃いめ1本 | 約13時間前まで | 前日20時が目安 |
| 300mg以上 | コーヒー3杯以上 | 逆算そのものが困難 | 総量から見直す段階 |
※ 睡眠ガイド2023に示された107mg・217.5mgという境界を、実務的な丸め数字に置き換えた目安です。個人差が大きく、公的な基準値ではありません。
「守れない」と思ったあなたが正しい
この表を見て「そんなの夜勤では無理だ」と思ったなら、その反応は正確です。21時から翌6時まで働いて、9時に寝る。この勤務で門限を完全に守るのは、そもそも構造的に不可能です。
だからこの表は、守るためではなく選ぶために使ってください。今日は明けにしっかり眠りたい日なのか、それとも眠るより無事に帰ることのほうが優先の日なのか。連勤の何日目なのか。その判断を数字に基づいて下せるようになる、というのがこの表の価値です。
門限を厳しく引く
連勤の最終日、翌日が休みの日、明けに用事がない日。勤務後半は非カフェインに切り替え、必要なら仮眠で乗り切ります。
門限より覚醒を取る
車やバイクで帰る日、危険を伴う作業がある日。眠気を残したまま帰るリスクのほうが大きいなら、明けの寝つきは後で調整します。
総量を温存する
初日から上限近くまで使うと、後半で効かなくなります。前半は少なめに抑え、きつい日のために余力を残しておきます。
SECTION 101回量の設計──一気に入れず、分けて置く
ここまで総量と時刻の話をしてきました。最後にもうひとつ、効き方を決める第3の変数があります。同じ200mgでも、一度に入れるのと2回に分けるのとでは、体の中で起きることが違います。
一気に入れると、山と谷ができる
200mgを一度に飲むと、30分〜2時間後に鋭いピークが来ます。この山が高いほど、動悸・手のふるえ・そわそわした落ち着かなさが出やすくなります。そして山を作った分だけ、その後の落差も大きくなる。深夜3時の谷に合わせて入れたつもりが、1時にピークが来て、3時にはもう下り坂ということが起こります。
分けて置くと、線が平らになる
同じ200mgを、80mg・60mg・60mgのように分けて置くと、ピークは低くなり、代わりに効いている時間が横に伸びます。夜勤で欲しいのは「一瞬の強い覚醒」ではなく「勤務時間を通した安定した覚醒」なので、この形のほうが目的に合っています。
200mgを深夜0時に一気に
0時30分〜2時に強いピーク。動悸が出やすく、3時以降は下り坂。そして就寝時の残量は、分割した場合より多くなりがちです。
80mg(21時)+60mg(0時)+60mg(2時)
ピークは低いまま、勤務帯全体をカバー。最後の1回が早いぶん、就寝時の残量も抑えられます。総量も自然と減らしやすい。
1回量を決める目安
- 1回は200mgを超えない。EFSAが示す、1回あたりの急性毒性の懸念が生じない上限が体重70kgで約200mgです。夜勤では、この半分以下で十分回ることがほとんどです。
- 基本の1回量は60〜100mg。缶コーヒー1本、ドリップコーヒー1杯、インスタントを標準の濃さで1杯。この単位で考えると足し算が簡単になります。
- 間隔は3時間以上あける。前の分がまだ半分以上残っている状態で足すと、想定より高い山ができます。
- 最後の1回は、就寝時刻から逆算して決める。ここだけはシミュレーターの出番です。総量に余裕があっても、この1回が残量を決めます。
設計の考え方をひと言で
カフェインは「眠気が来てから足すもの」ではなく、「谷が来る前に、あらかじめ置いておくもの」。眠くなってから飲むと、効くのは30分後──つまり、いちばんつらい時間帯を素通りしてしまいます。
SECTION 11シフト別カフェイン配分プラン
ここまでの原則を、実際の勤務パターンに落とし込みます。時刻はあくまで一例なので、自分のシフトに合わせてずらしてください。大事なのは時刻そのものではなく、「置き方の形」です。
プランA|夜勤専従(21:00〜6:00/明け9時就寝)
体内時計を夜型に寄せて固定できる唯一のパターン。そのぶん、明けの睡眠は毎日の生活の土台になるので、残量管理をいちばん厳しくやる価値があります。
| 時刻 | 置く量 | ねらい |
|---|---|---|
| 20:00(出勤前) | 90mg | 勤務開始時点でピークに乗せる。家を出る前に済ませる。 |
| 0:00 | 60〜90mg | 深夜3〜5時の最大の谷に向けて、あらかじめ置いておく。 |
| 2:00 | 0〜60mg | ここが最終ライン。9時就寝なら7時間前。必要な日だけ。 |
| 4:00以降 | ゼロ | 眠気には仮眠・光・体を動かすなど別の手を使う。 |
総量は150〜240mg。上限400mgの半分強で回すのが、専従の理想形です。毎日使う人ほど、感度を守る意味が大きくなります。
プランB|2交代(日勤と夜勤が交互)
問題は夜勤日そのものより、その前後の日にあります。夜勤明けの日と、翌日の日勤に戻る日で、必要な設計がまったく違うためです。
- 夜勤日/プランAとほぼ同じ。ただし最終ラインは1〜2時間早めに引いておくと、明けの睡眠が安定しやすい。
- 明けの日/明けに寝る前は当然ゼロ。起きたあと(夕方)に飲むと、その日の夜の睡眠を壊します。夕方以降はカフェインを入れないのが、翌日の日勤への最短ルート。
- 日勤に戻る日/朝の1杯だけで足りることが多い。「夜勤の疲れが残っているから」と昼過ぎに足すと、また夜が崩れます。
プランC|3交代(日勤・準夜・深夜)
もっとも難しいパターン。就寝時刻が数日おきに数時間ずつ動くため、「いつもの門限」という固定値が使えません。
- 準夜勤(16:00〜0:00ごろ)/終業が0時なので、最終ラインは早い。20時ごろまでに置き終える設計にします。帰宅後の入眠を優先するなら、勤務後半は非カフェインで。
- 深夜勤(0:00〜8:00ごろ)/出勤前の1回と、3時ごろの1回で組む。5時以降は入れない。
- 共通/シフトが変わる日は、前のシフトの感覚で飲まないこと。「昨日と同じ時刻」ではなく「今日の就寝時刻から逆算」に切り替えるのが唯一のコツです。
プランD|たまに夜勤(週1〜2回)
体内時計は日勤側に置いたままのほうが、生活全体としては楽になります。そのため夜勤の日だけカフェインを厚めに使い、それ以外の日はほぼ使わないという、メリハリのある設計が可能です。
- 普段カフェインを使っていない人ほど、たまに使ったときによく効きます。これは耐性ができていないからで、大きな利点です。
- 夜勤日は総量200〜300mgまで使ってよい。ただし1回200mgを超えないこと。
- 明けは日勤日と同じように朝〜午前に光を浴びて、夕方から長めに眠るという方法が睡眠ガイドでも紹介されています。この場合、明けに長時間眠らないので、門限をそこまで神経質に引かなくてよいのがこのパターンの強みです。
SECTION 12診断2|カフェイン配分ナビ
勤務形態と、いま抱えている悩みの組み合わせで、優先して手をつけるべき一手が変わります。2問だけ選んでください。
NAVIGATOR
あなたが最初に変えるべき一手
谷の30分前に「置く」練習をする
毎日夜勤なら、谷が来る時刻はほぼ固定されています。3〜5時がきついなら、飲むのは2時30分ではなく0時。眠くなってから飲む癖を、先回りして置く癖に変えるだけで体感が変わります。
それでも消えないなら、それは量の不足ではなく仮眠が必要なサインです。カフェインは眠りの借りを返せません。
最終ラインを2時に固定する
9時就寝なら、2時は7時間前。この一線を動かさないと決めるだけで、明けの寝つきは変わります。まずは1週間、4時以降ゼロを試してください。
変わらなければ原因はカフェイン以外。遮光・防音・室温といった寝室環境の側を疑う番です。
週に1〜2日、使わない日を作る
毎日使っている人にとって、これがいちばん効きます。休みの日は飲まないのではなく、休みの日「にも」少量だけ飲む。そして夜勤の日の総量を2割落とす。落差を作らず全体を下げるのが、離脱の頭痛を避けながら感度を戻すやり方です。
出勤前の1杯を、家を出る前に前倒しする
2交代は勤務の入りが遅く、現場に着いてから飲む人が多いパターン。ピークまで30分〜2時間かかるので、それでは開始直後の立ち上がりに間に合いません。家を出る前に済ませておくと、勤務開始からきちんと乗ります。
明けの日の「夕方の1杯」をやめる
2交代でいちばん多い失敗がここです。明けに数時間寝て、夕方に起きて、なんとなくコーヒーを飲む。そこから翌日の日勤に戻るための夜の睡眠が始まるのに、その入口を自分で壊しています。
明けの日は、起きたあとは麦茶か水。これだけで翌日の立ち上がりが違います。
日勤の日を「使わない日」に指定する
2交代には構造的な利点があります。日勤の日は、そもそも夜勤ほどカフェインを必要としない。ここを意識的に減らすことで、夜勤日の効き目を温存できます。日勤日は朝の1杯だけ、と決めてみてください。
シフトごとに「置く時刻」を書き出す
3交代は就寝時刻が動くため、感覚での判断がいちばん外れやすい形態です。準夜・深夜・日勤それぞれについて、置く時刻を1回だけ紙に書いて固定してください。毎回考えるのをやめると、精度も総量も安定します。
「昨日と同じ時刻」をやめる
3交代で明けに眠れない最大の原因は、前のシフトの感覚のまま飲んでしまうことです。基準は時刻ではなく、今日の就寝時刻からの逆算。シフトが変わる日はシミュレーターを1回だけ回して、その日の最終ラインを決めてしまうのが確実です。
日勤ブロックを回復期間に使う
3交代は、日勤が続く期間が定期的に回ってきます。この期間を意識的にカフェインの少ない期間にすると、準夜・深夜のブロックで効きが戻ります。日勤中も同じ量を飲んでいると、いちばん必要な深夜勤で効かないという最悪の配分になります。
たまに夜勤なら、遠慮せず使ってよい
普段ほとんど飲まない人は、耐性ができていないぶんよく効きます。これは大きな利点なので、夜勤の日だけは1回100mg前後を2〜3回、しっかり使ってください。ただし1回200mgは超えないこと。
効きすぎて動悸が出るなら、1回量を60mgに落として回数を増やします。
明けに長時間眠らない選択肢がある
週1〜2回の夜勤なら、体内時計を日勤側に置いたまま乗り切る方法が使えます。睡眠ガイドは、明けも日勤日と同じように午前中に光を浴び、夕方から普段よりやや長めに眠って翌朝は同じ時刻に起きるという方法を紹介しています。
この形なら、明けの寝つきに神経質になる必要そのものが減ります。
たまに夜勤で効かないなら、原因は別にある
週1〜2回しか使っていないのに効かないのであれば、耐性は考えにくい。疑うべきは、慢性的な睡眠不足です。睡眠ガイドも、日中の眠気が慢性的な睡眠不足や睡眠障害に起因する場合があり、生活習慣を見直しても改善しない場合は医師に相談するよう促しています。
普段の睡眠時間が6時間を切っていないか、まずそこを確かめてください。
SECTION 13コーヒーナップ──順番を間違えない
カフェインと仮眠を組み合わせる方法があります。しかも、これは厚生労働省の睡眠ガイドが交替制勤務のページで名指しで紹介している数少ない実践テクニックです。
なぜこの順番なのか
理由は、この記事ですでに扱った時間割にあります。カフェインは飲んでから効き始めるまでに30分前後かかる。その空白の時間を仮眠にあててしまえば、目覚めるころにちょうどカフェインが立ち上がってくる、という設計です。
- コーヒーなどを飲む。量は60〜100mg程度で十分。熱くて時間がかかると意味がないので、ぬるめか冷たいものが扱いやすい。
- すぐ横になる。飲み終えてからだらだら過ごすと、この方法の意味がなくなります。
- 20分前後で起きる。睡眠ガイドは、交替制勤務では0〜4時に開始する20〜50分の仮眠が眠気・仕事効率・疲労を改善すると紹介する一方、60分と長く設定した研究ではかえって仕事の効率が低下したと報告されているとしています。
- 起きたら明るい場所へ。光を浴びると立ち上がりが速くなります。
夜勤者に効く豆知識
睡眠ガイドは、夜勤中の仮眠が夜勤後の睡眠に及ぼす影響については、多くの研究で影響はほとんどないとされているとも書いています。「仮眠したら明けに眠れなくなる」という心配で仮眠を避けている人は、その前提を見直す価値があります。カフェインと違い、仮眠は明けの睡眠をあまり削りません。
SECTION 14耐性──効かなくなったときの手当て
夜勤を長く続けている人ほど、この壁に当たります。昔は缶コーヒー1本で足りたのに、いまは2本飲んでも眠い。
やってはいけないのは「増やす」
効かなくなったときに量を増やすと、次の3つが同時に起こります。
上限に近づく
400mgの枠を使い切る方向に進みます。しかも効き目は戻っていないので、コストだけが増えます。
残量が増える
総量が増えれば就寝時の残量も増え、明けの睡眠がさらに削られます。すると翌日もっと眠くなる。
耐性がさらに進む
多く使うほど、体は慣れます。増やして解決した状態は、次に効かなくなるまでの短い猶予でしかありません。
この3つが回り始めると、眠れない→眠い→増やす→もっと眠れないという螺旋に入ります。夜勤を長く続けている人の「慢性的な体調の悪さ」の一部は、この螺旋が原因になっていることがあります。
正しい手当ては「下げる」
- まず総量を2割落とす。いきなり半分にすると離脱症状が出やすいので、缶コーヒー1本分から。
- 使わない場面を決める。「日勤の日は朝の1杯だけ」「明けの日は飲まない」のように、場面で線を引くと守りやすい。量で管理するより行動で管理するほうが続きます。
- 連勤の後半に温存する。初日から全力で使わない。きつい日のために枠を残しておく。
- 2〜4週間は様子を見る。感度は数日では戻りません。焦って元に戻すと、いちばんつらい時期だけ味わって成果を取り逃します。
- それでも改善しないなら受診を。効かない理由が耐性ではなく、睡眠不足や睡眠障害である可能性があります。いびきや日中の強い眠気が続く場合は特に。
発想の転換
カフェインを「もっと効かせる方法」はありません。あるのは「効き目を減らさない使い方」だけです。夜勤者にとってカフェインは消耗品であり、使えば使うほど残弾が減っていく。大事な日のために取っておく、という感覚を持てるかどうかで、10年後の体感がまったく変わります。
SECTION 15離脱──休みの日だけ頭が痛い理由
心当たりがある人は少なくないはずです。働いている日はなんともないのに、休みの日に限って頭が痛い。だるい。何もやる気が起きない。
「疲れが出たんだろう」で片づけられがちですが、もうひとつ疑うべき原因があります。カフェインの落差です。
連勤中は大量、休日はゼロ
夜勤中は缶コーヒーを何本も開ける。休みの日は家でだらだらしていて、コーヒーも飲まない。この生活は、体から見れば数日おきに大量摂取とゼロを往復している状態です。慢性的にカフェインを摂っている人が急にやめると、頭痛・倦怠感・集中力の低下・気分の落ち込みといった症状が出ることがあります。
皮肉なことに、休みの日ほど症状が出るのはこのためです。せっかくの休日が体調不良で潰れる。そしてまた出勤して大量に飲むと治る。この繰り返しが、「休みが休みにならない」という感覚を作っている可能性があります。
対処は「落差をなくす」こと
勤務日400mg/休日0mg
山と谷が大きすぎる。休日ごとに離脱症状が出て、その反動でまた勤務日に大量摂取という循環が固定されます。
勤務日200mg/休日60〜90mg
総量は大きく減っているのに、落差は小さい。休日に頭痛が出にくく、勤務日には効き目も戻ってきます。
- 休日にゼロにしない。朝に1杯だけ飲む。これで落差の大部分が消えます。
- 減らすなら段階的に。1〜2週間かけて少しずつ下げると、離脱症状はほとんど出ません。
- 頭痛が続く・ひどい場合は医療機関へ。カフェインの離脱と決めつけず、別の原因を確かめてもらってください。
頭痛薬にも注意が必要な場合があります
頭痛薬の中にはカフェインが配合されているものがあります。カフェイン離脱による頭痛に対してカフェイン入りの鎮痛薬を飲むと、症状は一時的に治まっても、カフェインの摂取そのものは続くことになります。頭痛が繰り返す場合は自己判断で薬を重ねず、医師・薬剤師にご相談ください。
SECTION 16形態別の使い分け
同じカフェインでも、入れ物が変われば使い勝手が変わります。量が読めるか、立ち上がりが速いか、余計なものが一緒に入ってこないか。この3点で整理します。
ドリップ/インスタントコーヒー
量が読みやすく、濃さで微調整できるのが最大の強み。粉の量を減らせばそのままカフェイン量が減ります。配分設計の基準単位に据えるならこれ。職場で作れるなら、インスタントは特に扱いやすい。
缶コーヒー・ペットボトルコーヒー
手軽さは随一ですが、量が読みにくいのが弱点。加糖タイプを何本も飲めば糖分も相当量になります。ペットボトルコーヒーは1.5本で1日の上限に届く計算です。
エナジードリンク
1本あたり36〜150mgと、製品による差が4倍以上あります。買う前に表示を確認するのが唯一の対策。糖分も多く、アルコールとの併用は避けるべきものです。
紅茶・せん茶・ほうじ茶
コーヒーの半分から3分の1。「まだ飲みたいが量は増やしたくない」という場面の中継ぎに向いています。ゼロではない点だけ忘れずに。
眠気防止薬・カフェイン錠
これは食品ではなく医薬品です。用法・用量を守り、短期間の使用にとどめること。カフェインを含む飲料と同時に服用しないよう、添付文書に明記されています。心臓の病気や胃酸過多・胃潰瘍がある方は服用できません。
カフェインレス・ノンカフェイン
睡眠ガイドは、茶葉を使っていない麦茶・そば茶・黒豆茶・とうもろこし茶、カフェインを含まないハーブティーへの置き換えを挙げています。「やめる」より「置き換える」ほうが続きます。
立ち上がりの速さで選ぶ
ピークまで30分〜2時間かかるという原則は共通ですが、飲み方によって「入るまでの速さ」は変えられます。
- 熱いコーヒーをゆっくり/飲み終わるまでに時間がかかるぶん、立ち上がりは緩やか。ピークも低くなります。動悸が出やすい人向き。
- 冷たいものを一気に/立ち上がりは速いが、山も高くなります。コーヒーナップの前など、時間を稼ぎたい場面向き。
- 食後に飲む/吸収が緩やかになります。胃への刺激も減るので、空腹時が苦手な人はこちらへ。
SECTION 17併用の危険と安全ライン
ここは記事の中でもっとも重要な章です。カフェインで実際に体調を崩す人の多くは、飲みすぎたのではなく「重ねてしまった」ケースです。
重ねてはいけない組み合わせ
1|眠気防止薬とカフェイン飲料の同時摂取
農林水産省は、カフェインを含む医薬品を服用する場合、過剰摂取を防ぐためエナジードリンクやコーヒー、お茶などのカフェイン含有飲料と一緒に飲むことは避けるよう促しています。眠気防止薬の添付文書にも同趣旨の記載があります。「薬を飲んだうえでコーヒーも飲む」は、意図せず一気に上限を越える典型的なパターンです。
2|エナジードリンクとアルコールの併用
米国CDCは、カフェインがアルコールによる機能低下を隠してしまうため、結果として飲みすぎにつながり、アルコールによる健康への悪影響を受けやすくなると注意を促しています。カフェインはアルコールの代謝に影響せず、呼気や血中のアルコール濃度を下げることもありません。「エナドリで酔いが覚める」は成り立たないということです。
3|気づかないうちに重なる医薬品
総合感冒薬、鎮痛薬、鼻炎用薬、ドリンク剤などにカフェインが配合されていることがあります。カフェインが含まれる医薬品は、添付文書や製品ページの成分欄に記載があります。体調を崩している時期こそ、飲みものと薬の両方からカフェインが入ってくるという点に注意してください。
4|高純度・高濃度のカフェイン製品
米国FDAは、純カフェイン粉末はティースプーン1杯で約28杯分のレギュラーコーヒーに相当し、安全な量と有害な量の差が非常に小さいため、家庭の計量器具では正確に量ることが困難だとして、大量包装での消費者向け直接販売を違法と見なす方針を示しています。オーストラリア・ニュージーランドでも、高濃度のカフェインを含む食品の一般販売が禁止されています。インターネットで購入できる海外製の高濃度サプリメントには、特に注意が必要です。
体に出るサインと、そのときの行動
カフェインを過剰に摂取して中枢神経が過剰に刺激されると、めまい、心拍数の増加(動悸)、興奮、不安、ふるえ、不眠が起こることがあり、消化管への刺激により下痢や吐き気、嘔吐が生じることもあります。
- そわそわする・手がふるえる/その日はそれ以上足さない。次回から1回量を減らす。
- 動悸がする・気持ち悪い/摂取をやめて休む。繰り返すなら医師に相談を。
- 強い症状がある/すぐに医療機関を受診してください。
判断に迷ったときの相談先
公益財団法人 日本中毒情報センターが、365日24時間対応の電話相談を行っています。医療機関を受診すべきか判断に迷ったときに利用できます。
- 大阪中毒110番/072-727-2499(365日24時間)
- つくば中毒110番/029-852-9999(365日24時間)
※ 生命に関わる症状がある場合は、迷わず119番へ。
SECTION 18飲み方の実務(胃・鉄・利尿)
量とタイミングを整えたら、最後は飲み方の細部です。夜勤特有の事情が絡む部分だけを拾います。
空腹で濃いものを飲まない
カフェインには胃酸の分泌を促す働きがあります。眠気防止薬の添付文書に、胃酸過多の症状がある方や胃潰瘍と診断された方は服用できないと書かれているのはこのためです。夜勤中は食事の時間が不規則になりやすく、気づけば「何も食べずにコーヒーだけ」という状態が続きがち。胃が痛くなりやすい人は、何か口に入れてから飲むだけで大きく変わります。
関連|第20回夜勤の夜食ランキング|コンビニで買える「太りにくい・眠くならない」夜食 ── 「先に何か口に入れる」の中身を、コンビニで買えるものから選びたい方へ。鉄の吸収を考える
コーヒーや茶に含まれる成分は、食事からの鉄の吸収を妨げる可能性が指摘されています。夜勤者はもともと食事が偏りやすく、鉄が不足しやすい条件がそろっています。食事の直前・直後は避け、30分〜1時間ほど空けるだけで済む話なので、覚えておいて損はありません。
関連|第12回夜勤者の栄養管理|不規則勤務で不足しがちな栄養素とサプリ ── 夜勤で不足しやすい栄養素と、その補い方をまとめています。利尿作用と、夜中に目が覚める問題
カフェインには利尿作用があり、尿意で頻繁に目覚めてしまうことも睡眠の質を悪化させる原因になると指摘されています。明けに眠りが浅い理由が、覚醒作用ではなくトイレのほうだったというケースもあります。就寝前の水分量とセットで見直してみてください。
糖分と、夜勤太りの話
加糖の缶コーヒーやエナジードリンクを1晩に何本も飲むと、カフェイン以外の問題も出てきます。夜勤帯は血糖の処理が日中より不利になりやすいので、糖分の入った覚醒手段を常用するのは避けたいところです。無糖のコーヒーやお茶に切り替えるだけで、この問題は消えます。
関連|第13回夜勤太りを防ぐ食事術|夜中に食べても太りにくい食べ方 ── 夜勤帯の食べ方・飲み方が体重に与える影響を整理しています。SECTION 19やってはいけない8つ
効かないから量を増やす
耐性が進むだけで、効き目は戻りません。増やすのではなく、下げて感度を取り戻すのが唯一の道です。
眠気防止薬とコーヒーを一緒に飲む
意図せず一気に上限を越えます。添付文書に「同時に服用しない」と明記されているものです。
エナジードリンクとアルコールを合わせる
酔いの自覚を隠すだけで、血中アルコール濃度は下がりません。飲みすぎにつながる危険な組み合わせです。
明け方の「もう1本」
就寝の数時間前に入れた分は、そのまま明けの睡眠を削ります。ここを我慢できるかで、その日の回復量が決まります。
1回に200mgを超えて入れる
ピークが高くなり、動悸や不安が出やすくなります。しかも切れたときの落差も大きい。分けたほうが目的に合います。
空腹で濃いコーヒーを流し込む
胃酸の分泌が促されます。夜勤中は食事が抜けやすいぶん、この形になりやすいので注意を。
休日にゼロにして落差を作る
離脱の頭痛で休日が潰れます。全体を下げるのは正解、落差を作るのは不正解です。
眠気の原因を確かめずに塗りつぶし続ける
強い眠気の背景に、慢性的な睡眠不足や睡眠障害が隠れていることがあります。カフェインで隠し続けると発見が遅れます。
SECTION 20まとめ|8箇条
- 「何時間前」ではなく「就寝時に何mg残るか」で考える。量が書かれていない時間ルールは、そもそも答えになっていません。
- 1日400mgは上限であって目標ではない。これを超えると、朝に飲んだ分でも夜に響く可能性があります。夜勤者は普通に飲んでいるだけで越えます。
- 1回は200mgまで。そして実務的には60〜100mgを単位に、3時間以上あけて分けて置く。山を作らないほうが、夜勤には合っています。
- 体感が消えても、半分は残っている。半減期は日本人でも3〜7時間の幅。「もう効いてない」は「もう抜けた」ではありません。
- コーヒーナップは、飲んでから寝る。順番を逆にすると意味がなくなります。仮眠は20分前後、0〜4時が狙い目です。
- 効かなくなったら、増やさずに下げる。2割落として2〜4週間。感度は数日では戻りません。
- 休日にゼロにしない。落差が離脱の頭痛を作ります。全体を下げて、山と谷をなくすのが正解です。
- 重ねない。眠気防止薬とコーヒー、エナドリとアルコール、風邪薬との併用。事故はたいてい「重ねた」ときに起きています。
最後にひとつだけ
カフェインの正しい摂り方を突き詰めていくと、行き着く先は「使う量を減らすための技術」になります。効かせる裏技があるわけではなく、無駄な1本を削り、必要な1本を必要な時刻に置く。それだけです。
そして削った分の眠気は、カフェイン以外の手段──仮眠、光、体を動かすこと、そして何より十分な睡眠時間──で埋めていくしかありません。この記事が扱ったのは、あくまで3つの武器のうちの1本です。残りの2本については、親記事にあたる第25回をあわせて読んでみてください。
FAQよくある質問
飲んだ量によって答えが変わります。睡眠ガイド2023が引用する系統的レビューでは、摂取量が107mgを超えると就寝の約9時間前でも、217.5mgを超えると約13時間前でも夜間の睡眠に影響しうるとされています。ざっくり言えば、コーヒー1杯強なら9時間前、2杯なら13時間前が目安です。
ただし個人差が大きいので、この記事のシミュレーターで自分の残量を出し、50mgを下回るラインを自分の門限として使うのが実用的です。
健康な成人であれば、カフェインの合計で1日400mgが目安の上限です。睡眠ガイド2023はこの400mgを、ドリップコーヒーで珈琲カップ4杯分(約700cc)、市販のペットボトルコーヒーで1.5本分(約750cc)と換算しています。
ただしこれは上限であって推奨量ではありません。夜勤者の場合、缶コーヒーやエナジードリンク、医薬品からのカフェインも加算されるため、実際には想定より早く上限に届きます。妊娠中・授乳中の方、こども、高齢の方はより少ない量が目安になります。
まず本数ではなく、含有量を確認してください。エナジードリンク類のカフェイン濃度は100mLあたり32〜300mgと幅が広く、製品1本あたりでは36〜150mgと4倍以上の開きがあります。濃い製品なら3本で上限に届きます。
加えて糖分も相当量になります。無糖のコーヒーやお茶に一部を置き換えるだけで、カフェイン量も糖分も同時に下がります。アルコールとの併用は避けてください。
増やさないでください。睡眠ガイド2023は、慢性的な摂取では効果が減弱し依存も生じると指摘しています。増やしても効き目は戻らず、上限に近づき、就寝時の残量が増えて睡眠がさらに削られるという悪循環に入ります。
対処は逆方向です。まず総量を2割落とし、使わない場面を決め、2〜4週間かけて感度を戻します。それでも日中の強い眠気が続く場合は、原因が耐性ではなく睡眠不足や睡眠障害である可能性があるため、医師にご相談ください。
可能性はあります。慢性的にカフェインを摂っている人が急にやめると、頭痛や倦怠感などの症状が出ることがあります。勤務日は大量に飲み、休日はまったく飲まないという生活は、この落差を毎週作っていることになります。
対処は「休日にゼロにしない」こと。休日も朝に1杯だけ飲み、代わりに勤務日の総量を下げると、落差が小さくなります。ただし頭痛が続く場合やひどい場合は、カフェインのせいと決めつけず医療機関を受診してください。
睡眠ガイド2023は、この点にはっきり答えています。カフェインの代謝能力には大きな個人差があり、微量でも影響する人から多量でもあまり影響がない人まで様々である一方、寝つきに問題がない場合でも、睡眠時間の短縮や深い睡眠の減少は多くの人にみられるため注意が必要だとしています。
つまり「眠れている」と「眠りの質が保たれている」は別の話です。日中の眠気や、寝ても疲れが取れない感覚があるなら、量を減らして数日試してみる価値があります。
カフェインを取り除いた製品は、明けの一杯として有力な選択肢です。農林水産省も、カフェインに敏感な方などがカフェインを取り除いた製品を利用することを選択肢のひとつとして挙げています。
なお「カフェインレス」は完全にゼロという意味ではない場合があるため、気になる方は表示を確認してください。完全に含まないものを選びたい場合は、茶葉を使っていない麦茶・そば茶・黒豆茶・とうもろこし茶や、カフェインを含まないハーブティーが確実です。
医薬品なので、用法・用量を守り、短期間の使用にとどめることが前提です。製品には「短期間の服用にとどめ、連用しない」「他の眠気防止薬と併用しない」「コーヒーやお茶などのカフェインを含有する飲料と同時に服用しない」といった注意が記載されています。
また、心臓病のある方、胃酸過多の症状がある方や胃潰瘍と診断された方は服用できないとされています。毎回の夜勤で常用するような使い方は想定されていないため、日常的に必要な状態なら、まず睡眠時間の確保を見直し、それでも改善しない場合は医師・薬剤師にご相談ください。
お茶の種類によります。濃度で比べると、玉露は100mLあたり160mgで、コーヒーの60mgのおよそ2.7倍です。「お茶だから安心」という前提は玉露には当てはまりません。
一方でせん茶・ほうじ茶・ウーロン茶は100mLあたり20mg、玄米茶は10mgと少なく、量の微調整には向いています。カフェインを避けたい時間帯には、茶葉を使っていない麦茶などに切り替えるのが確実です。
NEXT | 連載 第27回
次回は「夜勤者におすすめのコーヒー|ドリップ・インスタント・カフェインレス比較」。この記事で扱った「量が読める」「濃さで微調整できる」という条件を、実際の製品と淹れ方に落とし込みます。職場でどう用意するか、明けの一杯に何を選ぶかまで含めて整理する予定です。
この記事で作った残量の物差しは、そのまま次回でも使います。まずは一度、自分のいつものパターンでシミュレーターを回してみてください。数字が出てしまえば、あとは調整するだけです。
【免責】本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療・特定の商品の効能を保証するものではありません。カフェインへの反応には大きな個人差があります。持病のある方、通院中・服薬中の方、妊娠中・授乳中の方、こども、高齢の方は、必ず主治医・薬剤師の指示を優先してください。体調に異常を感じた場合は速やかに医療機関を受診してください。記載した数値は執筆時点で確認できた公的資料等に基づくものであり、内容は更新される場合があります。

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